制作の途中の音を残すことについて ― 『希望王女』の音楽ノート

要旨
現在公開している『希望王女』の音楽は、完成形ではなく、制作の途中の音です。聴き返すと、音の作り方、構成、ミックス、歌や演奏、表現の運び方など、今の視点から直せるところが多くあります。それでも当法人は、これらを古い作品として片づけるのではなく、制作の記録として残します。今後は、音楽を物語やキャラクターと結びつけながら、時間をかけて育ててまいります。
経緯
これらの音楽は、『希望王女』の世界がまだ形になる前に、ことばにならなかった感情や思いつきを、少しずつ音のかたちで積み上げた記録です。当時は、世界観を今ほど整理できていませんでした。曲ごとに表現したい感情や場面があり、試し、失敗し、また次を作るという繰り返しの先に、今の XmasFantasy があります。
一曲を完成した作品として評価するだけでなく、この時期に何を考え、何を感じ、何を表現しようとしていたかという過程にも、耳を傾けていただけましたら幸いです。拙さの中にも、後の作品へつながる種が残っています。あるフレーズの気配、ある転調のためらい、ある歌詞のひとことが、今のキャラクターテーマやサウンドトラックの原型になっていることがあります。Stella di Betlemme、ベツレヘムの星という名の光も、そうした小さなきらめきの積み重ねから見えてきたものです。
補足
今後は、新しい曲を数多く作ることを目的にはしません。ひとつの作品がなぜ生まれるのか、何を伝えたいのか、物語のどの場面で流れるのか、どの人物の感情を背負うのかを考えながら、ゆっくり制作します。目指すのは、次のような音楽です。
- 物語の場面と結びついた BGM・劇伴としての音楽
- 登場人物の心情から立ち上がるキャラクターテーマ
- 漫画音楽・物語音楽として、絵やことばと響き合うオリジナル音楽
- キリスト教文化の光や祈りの気配を含んだファンタジー音楽
音楽を単独の曲で終わらせず、漫画、物語、キャラクター、映像、世界観と結びつけていきます。ひとつの音が別の作品を呼び起こし、ひとつの物語がまた別の音楽を生み出すように、作品同士が互いにエネルギーを渡し合う世界を目指しています。現在の創作音楽は、これから育っていくために蓄えられた、静かなポテンシャルエネルギーのようなものです。未熟さは消したい過去ではなく、まだ芽を出していない希望の入口でもあります。この希望の物語が育っていく過程を、これからもお聴きいただけましたら幸いです。
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